京都府にむかしから伝わるご当地妖怪を日本地図とイラストで一覧表にして紹介します。
鞍馬天狗(くらまてんぐ)、酒呑童子(しゅてんどうじ)、釣瓶落とし(つるべおとし)、片輪車(かたわぐるま・へんりんしゃ)、鵺(ぬえ)…。あなたの知っている妖怪や伝説もあるかもしれません。妖怪といっしょに都道府県の特徴や自慢などを紹介しているので、ぜひ覚えてくださいね。
京都府に伝わる妖怪・伝説
鞍馬天狗(くらまてんぐ)
山で修業(しゅぎょう)をする山伏(やまぶし)の服装で赤ら顔で鼻が高く、空高く飛ぶといわれる天狗(てんぐ)。
天狗伝説は日本各地に残されていますが、鞍馬山(くらまやま)は日本各地の天狗信仰(てんぐしんこう)の総本山(そうほんざん)とも言われています。
今からおよそ800年前、源義経(みなもとのよしつね)が子どものころ、鞍馬山で天狗に兵法を授けられ、船から船へ飛び移る「八艘跳び(はっそうとび)」を身につけたとされています。
酒呑童子(しゅてんどうじ)
酒呑童子(しゅてんどうじ)は、丹後半島(たんごはんとう)にある大江山(おおえやま)を根城(ねじろ)とした鬼です。
平安時代、酒呑童子は京の都から貴族の姫君や若者をさらっていました。
そこで、酒吞童子を退治するために大江山に向かったのが、源頼光(みなものとのよりみつ/らいこう)を頭に藤原保昌(ふじわらのやすまさ)、坂田公時(さかたのきんとき)などの四天王(してんのう)です。
頼光らは道に迷った山伏(やまぶし)を装い、鬼の城を訪ねます。その夜に開かれた酒宴(しゅえん)で頼光らは鬼に毒の酒を飲ませて酔いつぶし、酒吞童子や手下の鬼たちを退治し、捕らえられていた姫君たちを救い出しました。
酒吞童子の首級(しゅきゅう)を掲げて京の都へ帰ろうとしたところ、首級が老ノ坂峠(おいのさかとうげ)で動かなくなり、そこに酒呑童子の首を埋めて首塚を作ったという伝説があります。「首塚大明神」は首から上の病気にに霊験あらたかだといいます。
また、首級は宇治の平等院(びょうどういん)の宝蔵(ほうぞう)に納められた、という伝説も残されています。
釣瓶落とし(つるべおとし)
釣瓶落とし(つるべおとし)は、大木の上から落ちてきて人間を襲(おそ)ったり食べたりする妖怪。
京都府に伝わる話では、人間が木の下を通ると突然木の上から落ちてきて驚かしゲラゲラと笑いながらまた木の上に上がります。さらに、釣瓶(つるべ)ですくい上げて食べてしまうこともあるといいます。
片輪車(かたわぐるま・へんりんしゃ)
片輪車(かたわぐるま)は、恐ろしい男を乗せ、炎に包まれた片輪の牛車(ぎゅうしゃ)の妖怪。
京都の東洞院通(ひがしのとういんどおり)に毎晩のように片輪車が現れるので、人々は夜の外出を控えて家の戸を固く閉ざしていました。
しかし、ある女が興味本位で家の戸の隙間から外をのぞいてしまいました。すると、牛車の車輪が戸の前まで転がって来ました。車輪のまん中には恐ろしい形相(ぎょうそう)の男の顔があったと伝えられています。
『諸国百物語』より
鵺(ぬえ)
鵺(ぬえ)は、元は妖怪ではなく「トラツグミ」という鳥の別名でした。トラツグミは「ヒィー、ヒィー」と人間の悲鳴のような声で鳴くので人々から忌み嫌われていました。。
平安時代、トラツグミによく似た声で鳴く化け物が出現しました。顔は猿(さる)のよう、胴は狸(たぬき)、手足は虎(とら)、尾は蛇(へび)という姿です。そして、鳥のトラツグミのように不気味な声で鳴く妖怪なので、この化け物は鵺(ぬえ)と呼ばれるようになりました。
『平家物語(へいけものがたり)』によると、京都府にある天皇の御所(ごしょ)が毎夜、黒煙(こくえん)に包まれ、鵺(ぬえ)の不気味な声が響き渡るようになりました。これに恐れおののいた天皇はついに病になってしまいました。そこで、源頼政(みなもと の よりまさ)が鵺を矢で射たところ、悲鳴とともに黒煙の中から鵺が落ちてきました。まだ鵺は息がありましたが、頼政の家来がとどめを刺すと黒煙は消え失せ、不気味な泣き声も止んだそうです。鵺が死ぬと、天皇の病状見る間に回復したと言われています。
鵺の骸(むくろ)は小舟に乗せられ、京都の鴨川(かもがわ)に流されました。兵庫県芦屋市や大阪市都島区の鵺塚(ぬえづか)は、漂着(ひょうちゃく)した鵺をほおむった塚であるとされています。
※妖怪の話はこちらに掲載されている内容と異なるものもあります。
※同じ妖怪・似た話がほかの都道府県にも伝わっている場合があります。
※妖怪のイラストはイメージです。